「最大200万円相当の援助」の中身について


具体的な数字のインパクトをタイトルに出す事により誤解を与えるのではないかというご批判はごもっともです。大阪市より表記内容に関して指導を受けた事も事実です。

Q 実績ベースでどれほどの援助を実母様が養親様から受けられたか
A 医療費で一番高かったのは、帝王切開で健康保険が使えなかった事例で90万程度養親様にご負担頂いたことがあります。通常は健康保険や出産一時金の42万円を利用しますので、医療費の負担が5万円程度ですむ事もありますし、高いところでも実費負担は20万円程度までです。また、出産にかかる費用として、出産前後の1ヶ月間はお仕事もできず収入がストップするわけですし、人によってはそれ以上の期間収入が止まります。平均すると2ヶ月間で30万円程度は最低家賃の支払いや生活費で足りなくなります。そういった費用も養親様に援助いただいています。住んでいる地域などによって必要な費用は変りますので、必要最小限の額を算出するために家賃や携帯代金や月収などヒアリングしています。過去の実績として一番多く養親様にご負担頂いた費用は、90万円の医療費と20万円程度の生活費と、10万円程度の交通費や通信費などで、合計120万円程度の実績があります。さらに万一産まれてきたベビーに特別な処置がかかるとさらに数十万円が上乗せされる可能性がありますので、そういった可能性を考慮して「最大200万円相当の援助」という表現を使わせていただいた次第でございます。当然養親様には、最大それくらいの負担があっても大丈夫だという約束をいただいておりますし、ベビーに万一障害があったとしても、実子と同じように全て受け入れていただくという大前提でマッチングを行っております。

Q 大阪市の指導に対してどう対応したか
A 指導内容はごもっともであるし、趣旨もよく理解している。それでは、表現方法を変えるとして、「最大120万円相当の援助実績有り」と事実を記載すれば問題ないのかと返答したところ、大阪市より返信が無い状態です。

Q 中絶しようと考えている人に最大200万円相当の援助があると告知する目的は?
A 目的は3つです。
1つは中絶されている赤ちゃんの命を一人でも多く救う事です。現在年間約100万人の赤ちゃんが日本で誕生していますが、その影で20万人の赤ちゃんが中絶されています。中絶の理由は様々ですが、経済的な理由で育てられないのが最も多い理由となっています。年間20万人というのは、なかなか想像が付かないと思いますが、日本人の死因で相対化すると、ガンの死者は年間35万人、心臓病で18万人、自殺で2.5万人、交通事故で0.5万人
横並びにすべきでは無いかもしれませんが、中絶は日本人の死因ではガンに次いで2番目の多さなのです。
また、中絶ができるのは22週未満までとされていますが、直前の21週になると赤ちゃんは約500グラムまで成長します。以前は21週で母体の外に出ると赤ちゃんは生きることができませんでしたが、現在の医療では6割以上の赤ちゃんは助かります。助かる可能性のある命である以上、経済的な理由で中絶するしか選択しが無いというのは、お母さんにとっても赤ちゃんにとっても不幸ですし、中絶をした事で長い間、罪悪感を感じる事になります。しかし、もし経済的な援助と養子縁組という選択肢があるのであれば、それを選ぶ事によって赤ちゃんの命を助ける事ができます。20万人の中絶されている妊婦さんのうち、ほんの1%の方がこの選択肢を選んでくれるだけで2000人の赤ちゃんの命を助けることができます。

2つ目の目的は、特別養子縁組里親として赤ちゃんを待っておられる多くの養親希望者様に赤ちゃんをお届けして、育ててもらえるようにするということです。一般的には知れ渡っていませんが、わが国において、特別養子縁組の件数は先進国の中でも最低水準です。需給バランスでいうと、1万組の里親希望者様に対して、赤ちゃんの養子縁組の成立件数は年間200組足らずです。40歳の夫婦が希望しても、順番がまわってくるのは、平均しても70歳を過ぎてからの話になります。
これほどまで少ない原因はいくつかありますが、最も大きな原因は、愛知県を除く児童相談所が積極的に養子縁組を行っていない不作為(行政の裁量権の消極的濫用)が原因です。 構造的な問題もありますので、ここでは多くは語りません。当WEBサイトの他の記事もご覧いただければご理解いただけると思います。

3つめの目的は、行政のお金の無駄使いをやめさせて、子どもにとって最も良い福祉を実現することです。児童相談所が1人の赤ちゃんを乳児院に委託すると、年間680万円のコストがかかりますが、養子縁組里親委託することで、その費用を養子縁組里親様の補助金として使う事ができます。1組あたり月に7万円を補助するとしても、8組の里親様に補助金を出す事ができます。これによって、多くの不妊治療で恵まれなかった夫婦のもとに、経済的な格差なく養子縁組で赤ちゃんを安心して育てる環境を作る事ができます。
さらに、女性の社会進出によって晩婚化が進むこれからの日本において、例えば、30代後半まで仕事して、40歳で結婚して不妊治療を3年がんばっても恵まれず、いざ養子をもらおうとして児童相談所に話を聞くと、年の差が40歳までの子しか委託できない、赤ちゃんは無理と言われます。さらに養子縁組ではなく、養育里親として施設にいる子どもを受け入れられるよう、専門的な知識を身につけるための研修を多く受けることになり、努力して里親登録しても5年待っても縁が無くしぶしぶ諦める。このように経済的にも時間的にも精神的にも大きな負担になっています。こんな理不尽な話がまかり通っているのが今の日本の現状です。
1人でも多くの実母様に、たとえ育てられなくても赤ちゃんを乳児院にはいかせずに、養子縁組という選択肢がある事を知ってもらうために、批判を承知で金額を表に出した目を引くような表現を活用しています。そして多くの人がこの問題を認識し世論として政治に働きかけることができれば、制度を変えることができ、子どもにとって最も良い福祉を実現できると考えています。